MAZDA R360 qoupe

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こんな晴れた火計なかったはずだ。

でも不思議と思い出せないんだ。風の日のこと。雨の日のこと。雪の日もあったね。

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サイダーのシュワシュワした感じ。好きだなあ。
随分唐突だ。

フローリングというか板張りだな、あれは。おばあちゃんの家の床は冷たいけど裸足で歩きたい。なんのこっちゃ。

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あのたくあんはいくらでもいけるな。
いよいよ、一体なんの話だい?

街を抜けてだんだん田園風景になっていくそんな長く真っ直ぐな畑の間の道を進む時、そんなたわいのないことを口にしては、自分で突っ込んでニタニタとしたものだ。

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こいつと一緒に暮らし始めてどれくらい経つだろう。

何にも似ていない。愛くるしい。
全く力はない。でも有り余るよりずっと幸福な気がする。
圧倒的に狭い。これじゃ埒があかないよ、と思うくらい狭い。

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よく親戚からクルマを借りてドライブしてっけ。

今とは違って小さかったなあ。

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でもだから。
でもだから、さあ。
でもだから、クラッチを切って変速する前に
僕の手が君に当たるんだからかなわないよ。昔のクルマはそんなものさ。

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このクルマ買った時、もっと小さいから僕は覚悟してた。
丁寧にしないとギヤチェンジできないぞ、ってね。

でもこのクルマにはクラッチはなかったのさ。
いっちょまえにトルコンなんかついててさ。

そんな話を聞いていたから、それを慣れ初めだと僕は思った。

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そんなこのクルマで君を迎えに行く。

近い、近いよ。
正直、今日、性急な気がする距離だった。
君が近い。

何かいう。左を見る。
風になびく髪、の前に近いんだよ。

また話が変わる。
横顔はまた印象が違うね、の前にそれでも近い。

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あ、あれなんだろう。
全然近い、だめだ。
変な言い方だが一向に縮まらないのだ「君との距離が近すぎること」に対して。

トルコンは楽だ、何てとんでもないデマカセだ。
僕は大いに汗した。
こんなことならなんぼでもクラッチを踏むさ。楽チンなはずのトルコンは
君のささやきに、微笑みに、都度反応する。そんなわずかな運転中の閑居を僕にもたらす。

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次第に寄り添っていくのではない。
圧倒的に近いから、始まることもあるのだということがわかったような気がする。

私の気持ちも気がつくと既に変速されていたような気がした。

向こうの山々はまだ冬の堅さを感じる。
それなのに、なぜだかわからない。不思議に思えるほどうららかな日がようやく
この街にも訪れた気がした。

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photogrpher:Masaru Mochida

model:Chiaki Kuratani

writter:Kentaro Nakagomi

special thanks:Tomitaku様
http://www.tomitaku.com/