「めんどくさいけどめんどくさくない、二人なら」 森住ジニ

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クルマ離れが叫ばれて久しい昨今ですが、「そんなにクルマは詳しくないから・・・」という人にクルマを見せてあげると、とっても興味深く見入っていたりすることも珍しくありません。そしてそういう人のクルマを見るときの観点、ポイントを聞いていると、「昔からクルマが好きだった」ことを自負していた自分にも、思いがけない新鮮な気付きをもたらしてくれることも少なくありません。

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それは「案外いい線突いている」のではなく、「ただ単に話題の中心になりにくい」というに過ぎないのではないか、、、そう思わずにはいられないのです。今でも依然洋服のように、クルマを着こなす人、人生を描き出すカンバスのようにクルマを扱う人、憩い語らうようにクルマと戯れる人、まだまだ決して少なくない、最近そんなことを強く感じさせられた場面に数しれず遭遇したものです。

そんな中でも、人生のご縁がすなわち、ステアリングを握ることまでも運命付けたこの人の場合は格別ではないでしょうか。

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森住ジニさんは、「播磨坂もりずみ」は初め、日本人のソウルフード「らーめん」の分野で、かのミシュランにも認められた料理人森住康二氏の奥様。英国車をこよなく愛するエンスージアストでもあるご主人の影響で、このほど免許を取得したということで少しお話を伺うことができました。

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「めんどくさいけどめんどくさくない、二人なら。」

「もともと古いクルマが好きだった訳ではありません。でも主人が好きだったものでその影響で好きになりました」今年の年明け早々に免許を取ったばかりのジニさんは、そう話してくださいました。クルマとの出会いはご主人との出会いがなければあり得なかったそうです。ご主人と出会い、ご主人との時間は、希少であるだけでなく、作り手の温もりも感じられ、今に至るまで、いろんな人たちの情熱と、場合によっては苦労もあったでしょうし、何よりも想いが受け継がれてきた、一つの「歴史そのもの」のような、旧車とともにいろんな場所に出かけていく中で重ねられていったと言います。そして、そこでいろんな出会いがあり、友達の輪も広がっていく。そういうものを実感されてきた中で、ご主人との出会いはもとより、免許を取ることまでもが、いわば運命付けられていたのかもしれません。

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ですから「めんどくさいけどめんどくさくない、二人なら。」というジニさんの言葉の説得力には筆舌に尽くし難い「重み」がにじみ出ています。

「サンタさんがくれたチェロキーのこと」

もともと韓国ご出身のジニさん。いろいろ不慣れなこと、勝手の違うこともあったに違いありませんが、そこはご主人の心強いサポートがあったそうです。仮免許を取得してからは、いろんなクルマに乗ったほうがよいということで、アルファGT、FIAT500、クラウンを二台、ディーゼルのアテンザ、ラクティスなどを体験したといいますから、日本の多くの免許取得者よりもこの時点での経験値はむしろ高くなっていたといえるでしょう。しかし、中でも一番励みになったのは今の愛車でもあるチェロキーがクリスマスに来たことだといいます。

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見に行ったときは一緒に見に行ったのですが、ご主人が内緒で購入。ピッコロカーズの竹門代表の強力もあり、クリスマスにサプライズ納車されたのだそう。前から好きだったのでとても嬉しいプレゼントだったと同時に、そのとき教習中だったジニさんにとって、実に心強い応援団長でもあったのです。

1月14日に晴れて免許を取得、以来毎日のように乗っているのだそうですが、まだまだ課題があって、多くの人がそうであるように、バックはまだまだ不慣れで駐車のときはいつも緊張の連続だそうです。それでも一人で横浜まで行って帰ってきたり、首都高はわかりにくいとは思いつつも迷いながらのドライブは、ちょっとした冒険のよう、森住家にはビックヒーレー3000MkⅡと、パンダも加わるとのことで、こちらにも早く乗りたいと積極的なジニさん。

「クルマの楽しみとは」と言う質問に対して、「思い立った時に動かせること。」と語ってくださいました。パジャマでも出かける、のだそうです。

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そして最後に、「ジニにさんにとってクルマとは?」と伺うと、「モノ、コト、バショを繋ぐメディア。今まで韓国はクルマにあんまり興味がなかったけど、主人と出会って、クルマの魅力を知る事が出来ました。」と応えてくださいました。そして「中でも特に、主人と出会えた事が大きいです。」と続けてくださったジニさん。クルマが紡ぐ縁は女性の方が敏感なのかもしれません。

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森住ジニさんの果てしないグランドツーリングはまだスタートしたばかりです。
美しきエンスージアストとしても、そしてエンスージアストのコ・ドライバーとしても。

photographer:Masaru Mochida

model:Jini Morizumi

text:Kentaro Nakagomi